縦走もあと峰ふたつ

「事案のへそを押さえろ」という刑弁教官の助言を尊重したわけですよ、マジメで純朴なワタクシとしては。

「刑弁なんてメルクマール覚えときゃいいっしょ」という多勢の語呂合わせ軍団に背を向け、最近は自分や他人のへそをしげしげと観察して、十人十臍、特に我がへそはなかなかとぼけた愛嬌があるじゃないかと再確認していたわけで。

へそはふたつなし。

渦となりてへそ。

そんな格言を前日披露して「へえ」「そう」という反応をほしいままにして試験に臨んだものの、時間がなくて真のへそを見抜くことができず、なんとか目鼻をつけて提出した次第。

へそ信仰は悪くないけど経験を要求してきよるのう。

（またね！）

あと三つの辛抱

『隋の煬帝』（宮崎市定、中公文庫）を週末に読んでいたので、一族皆殺しや大盗賊団、何万人の屍山血河にボンヤリしてしまう。

殺されるから殺す、なんとなく殺す、殺す理由がないからこそ殺す、そんなのに慣れてしまい、和光にそぐわない大陸的思考でのぞんだ検察起案の出来は……

とか考えても生産性ゼロなんでやめとコ。

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来週月曜には退寮なので、荷物をぼちぼち箱に押し込む。

白表紙のシリーズたちも、遷都に伴い破棄され野垂れ死ぬものと、寵愛を受け連れ帰られるものに選別される。

「検察終局処分起案の考え方」は焼いて灰にしようか、煮て溶かそうか。

うしし。

うししし。

（またね！）

さよならケイ子

試験官にブルッてしまった。うちの部屋、（不必要に）厳しいゼ。

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A班で修習してたローの友人たちに会って若干テンションが上がる。便所での会話に過ぎないとしても。

ま、なんにせよ、あと四科目。引き続き、めんどくさい。

（またね！）

シーソーゲーム

今月上旬に新64期予定者たちと三日つづけて飲んだとき、彼・彼女らはどっぷり貸与制気分だった。

修習地での新居をどこにするかという話をしてて、こちらがうっかり「あ、住居手当ないの？」と言おうものなら、「当たり前です！」とピシャリ。

目が怖かったなあ。「この不当利得の豚！」「半分よこせ！」という気迫が伝わってきたもんナ。

きちんと法改正されるまで気は抜けませんが、また貸与制導入延長の可能性が出てきたということで、まずはいいニュースです。

新しい不当利得の豚サンたちが全国に遊牧される日も近い、のだ。

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明日から来週金曜まで二回試験。

めんどくさい。

（ブヒー！）

ゾウさんが好き、でもカメさんのほうがもっと好き

おっし奄美大島で即独すっか！

と妄想していた半年前、事務所の名前をアレコレ考えるのが楽しかった。

「マングローブ法律事務所」「ハブ、マングース＆ブラックラビット法律事務所」あたりが有力候補として勝ち残ったが、知り合いの事務所職員や弁護士会職員からは「電話で名乗るのが恥ずかしい」「かわりに賃上げして」などと不評であり、「東京にはヘンな名前の事務所がたくさんあるのだ！」と応じるも劣勢だった。

そんなころから、『自由と正義』の最新号をもらうたびに、弁護士名簿登録変更のページをみて事務所名のアイディアをさぐり、かつ「マングローブ法律事務所」が先に使われていないかをチェックするようになった。

んで、今日、11月号をもらったところ、「神田のカメさん法律事務所」を発見（101ページ）。

フハッ

となり天を仰ぎましたネ。虚をつかれたというか。事務所ホームページもあるようです。

まあ色んなご感想があるかと思われますが、ワタクシ、いい試みだと思います。

とりあえず「柴又のトラさん法律事務所」が連想的に思いつきましたヨ。

（またね！）

風狂の旅

友人の部屋に糊を借りに行ったら缶ビールも渡されて、落合フクシくんの結婚を祝して乾杯する。

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酔いがさめるまでの間に角川ソフィア文庫で松尾芭蕉『おくのほそ道』を読む。

片雲の風に誘はれて、漂泊の思ひやまず、弥生から長月にかけて、江戸を発して松島・平泉・山形をまわり新潟・福井・大垣へとテクテク至る。でも原文部分は50ページほど。短い！

「蚤虱 馬の尿する 枕もと」なんてのは、「生きてる！」という感じでいいですナ。

（またね！）

落葉ふむ

寮の鹿児島同期らと体育館でバドミントンを心身ともにへたばるまでやり、宅配パエリアをにぎやかに食べる。

彼らとの日常的友好関係もそろそろ終わりだなあ。

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木曜の昼休み、粗餐後のけだるい気分のなかで、何気なさを装う感じが伝わらなくもない程度の何気なさで「俺が鹿児島修習で良かっただろ」と聞いたところ、同期らは口々に力強く同意してくれた。

視線を外にやると、不自然なほど色づいた木が静かに揺れていた。

彼らからの「つーかそれって鹿児島修習の奴らに聞くことじゃね？」という視線を右頬に受けつつ。

秋が深まってきた。

何枚かの許可書ですむなら、研修所の落ち葉で焚き火して焼き芋したいナ。

（またね！）